2017年6月30日金曜日

Fielder vol.34

5月に取材をしていただいたFielderのvol.34が出来上がりました。笠倉出版社「Fielder(フィールダー)」、アウトドア雑誌です。いろんな活動を山でやろうとしたとき、まずは地図読みが出来ないとだめだろうという編集部の方針でときどき取材を受ける雑誌です。


だいたいのオーダーは、地図読み、やぶ山(登山道に関係なくフィールドだけを見るという意味かな?)歴史などを絡めたところに行ってください、という感じです。細かな打ち合わせはなく、どんなエピソードということを事前に打ち合わせします。これは想像ですけど、話を聞いて紙面の記事にできるかどうかという判断をする編集部ということでしょう。記事を書くのは編集者なので、話のベースになる資料をお貸ししたりします。


何度も訪れるみたけ道岩下ルート。記事にウソがないようもう一歩踏み込んで調べたら、岩下の集落手前の旧道上の峠が大明神峠、ヨロヤ沢から穴小屋沢へと小尾根を越える峠が小峠、そして主稜線の上にある大峠。地名が繋がった今回でした。


ここでの地図読み、季節が進んで広葉樹の葉が広がってしまうと地形が読みにくくあまり地図読みには向いていないと確認しました。ここは冬が良いです。遅くても5月の初めまでだと思います。


この1枚の誌面上の地図に石仏の位置が表されています。歩くたびに新たな石仏が登場して、18体までコレクトしました。とても面白いことだしほぼ毎年この場所を歩けるということは有難いです。


雑誌の取材とは言っても、編集者の方も地図読みスキルを上げたいと思っているので、いつもの地図読みの通りの先頭を歩いてもらいます。ルートをロストしたらアドバイスをするというスタイルです。大峠からの尾根の下り、まんま下る尾根の間違いが発生。修正した狙ったルートに復帰しました。間違いがあった方がスキルアップにつながります。

2017年6月25日日曜日

エンシュウハグマ

またまたの竜頭山(りゅうとうさん)です。浜松市天竜区にある1352mの山です。名古屋の旅行会社のツアーのガイドを頼まれました。竜頭山がどの山域にある山なのかということを正確にお話しする自信はありません。静岡県は遠江(とおとうみ)、駿河(するが)、伊豆となりたちで分けることが出来ると思います。遠江と駿河を分けるのは大井川でいいと思います。伊豆は別格です。(辺境の地?)。
山梨からは3時間半のドライブでした。新東名高速道路の有難さが実感できました。


登山口に向かう途中の秋葉神社 への分岐。江戸時代、秋葉神社は火伏せの神として信仰を広め、その参詣道が秋葉街道と呼ばれるようになりました。国道152号線は秋葉街道ともいわれます。その秋葉山の北にあるのが竜頭山です。ちなみに東京の秋葉原の地名の命名のおおもとはこの秋葉信仰ということだそうです。大火にあって、秋葉権現を勧進したことからの地名だそうです。


一番奥が竜頭山です。手前の川は天竜川で、秋葉ダムのダム湖なのでこんなに水があります。竜頭山、尾根伝いにたどれば深南部の山々からその先、南アルプスの3000mの山々に繋がってはいるのですが、南アルプスとは言えないし、深南部というのもはばかられるという感じで、あえて言うなら遠州の山ということだと思います。遠江(とおとうみ)と遠州(えんしゅう)、言葉としての関係ですが、遠江(とおとうみ)では仰々しいので、少し砕けた感じに遠州と呼ぶでということでいいと思います。そこの住人ではないので難しいところではありますが。ちなみに静岡百山のひとつの竜頭山です。


平和(ひらわ)登山口。ツアーの皆さんは名古屋、僕は山梨、お互い長い距離を移動しての合流です。こういうのは中々大変ですね。


平和(ひらわ)集落は存在しない現在ですが、石垣や火の見やぐら、幅広の道なんかで往時が偲ばれます。右の道は集落に向かう道だったのでしょう。


立派な石積み。どんな家が建っていたのでしょうか?


昔の仕事道を登山道として利用しています。山での人々の暮らしと登山道が一致しているわかりやすいケースです。写真の横たわる木は、当時伐採した木材を運び出しやすいように設置された丸太の跡です。木馬道の痕跡です。


沢コースと尾根コースがあり、今回は沢コースから尾根コースへ周回としました。


中は覗いていませんが、建物として残っている杣小屋です。


山頂南の尾根は、ブナなんかの広葉樹の森でした。なかなか美しく、展望はイマイチでしたが気持ちの良い尾根道でした。


主稜線に上がると、大岩が出てきて、その間を縫うようにつけられた登山道です。大岩は修験の場だったという情報はネットから。


山頂南の東屋。


遠く南アルプスの南部の山々が見えるのだと教えてくれました。


二週続けての竜頭山山頂。二等三角点です。


尾根ルートの途中の水場。なぜか直立不動の太いホースから勢いよく水が出ています。立ちどまって立ったまま飲めるおいしい水でした。


黄色いコナスビの花はたくさんありました。


まだ咲いていたキランソウ。


フイリフモトスミレ。当然花は終わっていましたが、特徴のある葉っぱです。


先週より香っていたコアジサイ。


真ん中の芽が10㎝以上に延びて花が咲く「アオフタバラン青双葉蘭」こちらは下山後にガイド仲間に教えてもらいました。ランは自分でも反応してしまいますが、いかんせん難しい同定です。



これはキッコウハグマ(亀甲白熊)


エンシュウハグマの葉っぱ。


エンシュウハグマ(遠州白熊)


ハグマは僧侶が使う払子(ほっす)という道具のことで、毛は中国から輸入された牛の仲間のヤクの尻尾の毛でした。それが白熊(ハグマ)と呼ばれていていたということでのハグマです。ハグマとつく植物の花はヤクの毛を使った払子(ほっす)という道具に似ているということです。エンシュウハグマは遠州に咲く払子(ほっす)に似た花ということです。葉っぱの形が独特で、竜頭山で初めて見ました。名前は花の形からなんですが、残念ながら秋に咲くそうなので花を見ることは出来ませんでした。でも葉っぱだけでも珍しかったです。静岡県の西部と愛知県の三河地方でしか出会えない花だそうです。


ネットからお借りした花の様子。


三河の植物観察というサイトから写真をお借りしました。


2017年6月22日木曜日

竜頭山

竜頭山1352mは浜松市の北にある山です。南アルプス深南部の水窪川(みさくぼ)が、諏訪湖から流れ出す天竜川に合流するあたりの山です。合流点のすぐ東の登山口。いちばん高いうっすら見えているのが竜頭山です。


平和(ひらわ)登山口。この山にもボランティアの方々がいらして、積極的に整備されているということが伝わってくるような標識がありました。ユキノシタの白い花がたくさん咲いていました。


壱丁目という丁石。入り口だけにありました。


まるで修行の山です。九割は杉の植林地。ずっとこんな景色が続きます。


平和(ひらわ)集落はもうありませんが、集落に人々が生活していたころの火の見やぐら。たくさん見られた石積みの平らには木造の建物が建っていたのだと思います。集落が生きていた時にはこの杉林はなかったでしょう。全く違う景色だったと思います。


ほぼ昔の山仕事で使われた道が登山道です。典型的な日本の里山の登山道です。


こんな植生が貧弱な杉林に、なんとカモシカの子供がじっとしていました。野生動物に出会うとガイド山行盛り上がります。


自然の中にいるのに幾何学的な景色の杉の植林地。


それでもお花に出会えました。コアジサイ、品のいい香りに皆さん鼻を近づけていました。


この奥の抜けた空間に御嶽山が見えるはずなんですが、残念な日でした。


タンザワウマノスズクサ 丹沢馬の鈴草  ジャコウアゲハの幼虫の食草です。


ヤマトウバナ 山塔花


ガクウツギ 額空木


ポイントがちょっとズレた感覚の標識。有り難いのですが、わかりずらいのでこんな表現も仕方ないです。天竜スーパー林道という車道が稜線上に通っているので、開発されている山です。いろんな道が縦横無尽にあるので標識もわかりにくいんです。標識がわかりにくいというより、縦横無尽のトレースがあるということが問題なのだと思います。


こんな人工物もありますから。


部分的には気持ちの良い尾根道だったりします。


山頂三角点。二等三角点でした。


車を走らせてここに来た人向け?整備された公園があります。


公園の東には立派な避難小屋。ここはトイレも併設。


ほおずき平という平な地形から、登りで使った登山道に入って下山です。杉林のこんな景色の下り。


無事に下山。標識が整備されていようが登山道がわかりにくかろうが、とりあえず無事に山行が終わった瞬間、感謝の気持ちに包まれます。お疲れさまでした!