2017年2月28日火曜日

伊豆山稜線

伊豆半島のだいたい中心に天城山があるわけですが、そこから南の下田方面はさらにワンダーランドって感じです。海岸線は複雑に入り組んでいて、なかなか時間がないとじっくりめぐることも難しい感じ。伊豆半島の山を考えた時に絶対抑えたいのが伊豆山稜線です。何日もかけてじっくり歩いてみたいところですが、それが叶わないのでドライブしながら少しでも理解したいと思いハンドルを握りました。河津町からGoogleマップに導かれ、西伊豆の松崎を目指しました。松崎の町の手前の那賀川沿いの桜並木。河津桜はもう散り始めですがここのはソメイヨシノでしょうか?まだ春はやってきていませんが、枯れ木でもわかるくらい見事な桜並木です。桜の名所だと思いました。桜並木が登場すると県道15号線を西に進んで松崎の町はすぐそこでした。


なまこ壁で有名な松崎の町。漆喰を盛り上げて塗った壁は、風や雨に強いという事らしいです。それにしてもきれいな壁でした。


外壁や土蔵が見事ななまこ壁です。こじんまりした松崎の町、日本基督教団の松崎教会も訪ねてみました。牧師先生は不在でした。


西伊豆らしい風景です。松崎港は手前の岬の向こうです。


伊豆半島の背骨の、真ん中の伊豆山稜線にドライブです。仁科川の横の県道59号線を仁科峠目指して北に向かいました。途中のワサビ田も伊豆らしい風景です。


県道を長々ドライブして、標高が700m前後になると現れる標識。


つじつまは整理できませんが、伊豆山稜線の猫越岳の周辺は、細かいトレースがたくさんあるという事だと思いました。それぞれ歩いてみないと何とも言えませんが、面白いルートがセッティングできそうな予感。


主稜線の伊豆山稜線だけ歩くのでは面白くないだろうというのは容易に想像できます。古の峠道が主役になるでしょう。その最たるのが天城峠なのですから。峠越えの古道が無数に存在する伊豆山稜線という事だと思います。


山登りを趣味にしている人、つまり我らにとってはとても残念なのですが、主稜線の伊豆山稜線は車道が通っているので、あえてそこを歩くというのはかなり微妙な感覚です。


伊豆山稜線のど真ん中の仁科峠。


天気さえ良ければとんでもない展望が広がる伊豆山稜線。


北上しながら見えた仁科峠周辺の放牧地。


山登りじゃなければ、ただのドライブなら、伊豆半島の背骨を気持ちよくドライブできます。山を登る人にとっては何となく後ろめたいドライブですが…


河津桜

河津町は東伊豆の山間の小さな町です。何といってもいち早く咲く河津桜で有名で、最近では約8000人の人口の町に、桜祭りの一ヶ月の期間中200万人も訪れるという日本でも有数の桜の名所です。百聞は一見に如かず、どんなんだろうと見物してきました。


峰温泉大噴湯公園の大噴湯。


大正時代に採掘された源泉が公園になってます。大正時代当時、地響きを立てて噴き出た熱泉は50メートルも噴き上がったそうです。現在は周りへの影響を考え噴き上げの時間も量も絞っているそうですが、勢いは衰えてないそうで、噴き上げ口を絞らない限りいつでも100℃の温泉が地上約30メートルに達してしまうそうです。


河津桜原木。
河津桜 「昭和30年(1955年)に飯田勝美が静岡県賀茂郡河津町田中で原木を偶然発見したことが由来である。当初、発見者の飯田氏の屋号から「小峰桜」と地元で言われてきたが、その後の学術調査で今までに無かった雑種起源の園芸品種であると判明し、昭和49年(1974年)に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名され、1975年に河津町の木に指定された。現在も原木はこの地に存在する。2017年現在で樹齢60~70年である。また、昭和42年(1968年)頃からこのサクラが増殖されるようになった。」wiki


河津桜は一般的な桜のソメイヨシノより花が大きく色がはっきりしたピンクなので、かなり目立ちます。2月上旬のまだ寒い冬の時期から咲き始め、約一ヶ月も楽しめる桜です。


今年はいつもの年より、二週間ぐらい早い咲き始めだと地元の方が教えてくれました。河津桜の原木ももう盛りを過ぎています。


河津桜を中心に、伊豆急行線の河津駅からだいたい2㎞ぐらいに見所がまとまっているので、ぶらぶら歩いてちょうどいい感じです。ここもぜひ訪れたい来宮きのみや神社。


来宮きのみや神社の大楠、クスノキの大木です。推定樹齢は1000年以上と言われています。来宮様きのみやさまの大クスと呼ばれるらしいです。


河津川沿いの河津桜の並木。


菜の花とのコンビネーションも、主役の桜が散り始めなのでイマイチでした。


ちょっと高台から撮ってみましたが、やはり空が曇りがちなのと、河津桜のピークが過ぎているのでイマイチでした。


無料駐車場はありません。なので、込み合う前に空いた駐車場に車を停めた方が時間を有効に使えます。残念なことに従来の500円から700円に値上がりした駐車代。


北の方角を見たら三筋山の稜線の風力発電の風車が見えました。河津町と東伊豆町を分ける尾根です。


三筋山

どうしても気になるエリア、伊豆半島に行って来ました。気になるエリアを足早に駆け回った550kmの旅になりました。伊豆半島の山といえば真っ先に上がるのが天城山。そして伊豆山稜線。U字形の主稜線がイメージできますが、伊豆半島はデカい!こんな下見の登山とは言えないような努力を何度もしないと把握できない気がしてます。それでも自分が理解していないとお伝えすることも出来ないわけです。
東伊豆、河津桜の河津町の山に入りました。国土地理院の地形図ベースで入った三筋山。


修善寺から天城トンネルを抜けて河津町からアプローチしたので河津と思わず書いてしまいましたが、伊豆稲取の山でした。細野高原という観光スポットなので、駐車場広し。


いちばん高いピークが三筋山。手前と奥の色が違うのは「山焼き」が行われた後だからでしょう。茅場と呼ばれる山です。茅かやは茅葺屋根の材料でもあるし、馬や牛の飼料、農地への肥料としても欠かせないものでした。その茅場を維持するための山焼き。毎年2月に行われるそうです。


本州で唯一、フィリピン海プレートの上に乗っている伊豆半島は、かつて太平洋上にあった火山島や海底火山の集まりで、プレートの北上に伴い火山活動を繰り返しながら本州に衝突して現在のような半島の形になりました。約60 万年前のできごとだそうです。そして20万年前までの火山活動で出来た天城山。長い年月を経て現在の地形になるわけですが、細野高原の一部は「稲取泥流」と呼ばれる水はけの悪い土石流に覆われていて、窪地には湿原がいくつかあります。


道路わきが崩れていて地層が見えました。明るい茶色の稲取泥流の上の黒い層は、長い間の山焼きの堆積でしょう。


一部登山道もあるようですが、車も走れるコンクリートで固められた道が続いていました。


曇りがちの空は少し残念でしたが、眺めはすごく良いところ。伊豆の島々が見えました。


山頂まで15分の駐車場。予備知識もないまま車を走らせて、標高約700mまで登ってしまいました。ガードレールもないコンクリの道、正直怖かったです。


細野高原の全貌。春は山菜(ワラビ採りのようです。去年は4/10~5/5、¥500)、秋は黄金のススキ野原(去年は10/5~11/11、¥600)、それぞれ入山料を取られます。


三筋山山頂。天城山の主稜線の八丁池近くから、南東に延びる長い尾根の上のピークです。


天城山の最高峰、万三郎岳は雲の中でした。


この尾根の上には風力発電の風車が並んでいます。登りながらも見えていたのでわかってはいたのですが、間近で見てその存在感に圧倒されました。


三筋山より北側に10基で「東京電力 東伊豆風力発電所」。南側に11基「ユーラス河津ウインドファーム」。どちらも去年操業開始という事でした。風車の高さは、地面から中心までで60m、プロペラの直径が73m。両方で約2万数千軒分の年間の電力を賄うそうです。当然この巨大な装置を運び上げるのに道路も作られています。地形図だけ見ていて魅力的な稜線が八丁池まで繋がっていました。地形図だけ見いたらそう思えました。風力発電の風車も、取り付け道路も地形図には書かれていませんでした。


ん~ん。


なんだかとてもがっかりして下ってくると、満開を過ぎた河津桜とたわわに実ったミカンの黄色が鮮やかでした。


2017年2月19日日曜日

西沢渓谷

冬山にチャレンジするぜ!と言う時に真っ先に浮かぶ技術、アイゼン歩行。アイゼン歩行に特化した技術講習で西沢渓谷に行って来ました。前日の雨と、この時期にしては信じられないくらいの高温(都内は20℃越え)でちょっとコンディションが心配でしたが、バッチリ狙い通りのことが出来ました。
倒れてしまっていた冬期封鎖・通行止めの看板。沢の中の状態がわかっていない人たちのためには必要なアナウンスだと思います。僕らは雪山に登る装備で入渓するので最強ですが、まともな装備を持たない人が西沢渓谷に入ったら、即、遭難です。


二俣のつり橋。この下で、東沢と西沢が合流して笛吹川となります。


西沢渓谷の立派な看板。


西沢渓谷に入って割とすぐに登場する階段。登り切ると、石塔尾根の枝尾根の上に出ます。ちょうど対岸に大久保沢が見えます。そんなことでも現在地がわかる読図です。


その枝尾根から少し下ると、俄然氷った登山道になりました。アイゼン装着!


 登山道わきの斜面からのしみ出しが、冬の初めから溶けては凍りという事を繰り返して、だんだん発達する、というイメージ通りの景色になって来ました。夏にはたくさんのハイカーが訪れる山梨でも有名な西沢渓谷の渓谷道です。


 発達した遊歩道の氷。こんなところはアイゼンがないと手も足も出ません!足か?


この氷った斜面をアイゼンをつけて登っていきます。登山用アイゼン、4本歯、6本歯、10本歯、12本歯、と各種種類あります。どんな環境で使うかによって、その場所で必要なアイゼンの種類が変わります。歯の本数が多いほうがいろんなシュチュエーションで使えますが、確実な足の運びが出来ないと逆に危険だったりします。アイゼンの前に歩きが大事なんです。足の運びという事です。


アイゼンを購入するというのは頻繁なことではないです。何か明確な判断基準があれば、購入時に迷うことはありません。普通はショップの店員さんとのやり取りで、店員さんのアドバイスを信頼して購入。そのまま山で実践となります。購入したショップで冬靴と新しいアイゼンを合わせてもらって来ました、という方の写真です。小柄な女性の靴です。12本の爪。フロントを見てください。前爪がちょっとだけしか出ていません。前から二本目の爪の付け根に穴が見えます。前から2個目の穴に調整していれば一番前の出っ歯の爪はもっと前に出ます。このセッティングでは前爪使い切れません。フロントポインティングで前爪で立とうと思っても登山靴の先端が氷りにあたってしまってアイゼンの爪が氷に刺さりません。この12本歯のアイゼンの機能を生かしきれないという事です。道具のポテンシャルどうこうという前の話になってしまいます。


こちらはしっかり登山靴とアイゼンがフィットしていました。前爪がしっかり出ていてフロントポインティングで使える状態でした。つま先のアイゼンの爪の出具合が違うという事がわかるでしょうか?


氷った斜面ではごまかしが利きません。アイゼンの爪を斜面にしっかり効かせて、ピッケルとのコンビネーションで安全確保をしなくてはなりません。


七ツ釜五段の滝手前の橋。ここでお昼。


なめこと豆腐と絹さやと、最後は大根おろしをスリスリ。体の芯からあったまる味噌汁を作りました。


アイゼンワーク、突き詰めればフラットフッティングとフロントポイントというアイゼンの爪の使い方になります。なだらかなところだと練習にならないので、少し傾斜のあるところでの上り下り。氷の上で落ちると、そのまま滑り台のようになってしまうので、ロープで確保しながらの練習となりました。八ヶ岳などの高い山だと、低温、強風、なだれ、雪庇など本当の意味で危険です。そんなリスクがない所で、凍った斜面でアイゼンワーク、高い山以上にごまかしが利かない氷の上。ねらい通りでした。


フロントポインティングでシングルアックスで、確保された状態で集中してアイゼンワークのトレーニングでした。


せっかく氷の宮殿のようなところに来たので、知識、経験として体験していただいた、Vスレッド。アイススクリュ―という道具で2方向から氷に穴をあけて、その穴にスリングを通して支点を作る。こんなんで強度は大丈夫なんか?体重を掛けて頂き、どんどんピッケルで氷を削っていく・・・うぇー!強えー!Vスレッド!


夕方になって青空が顔を出してきました。


二俣まで戻ってきたら、鶏冠山が「待ってるぜ、今年は来いよ!」と言っているような気がしました。