2017年2月19日日曜日

西沢渓谷

冬山にチャレンジするぜ!と言う時に真っ先に浮かぶ技術、アイゼン歩行。アイゼン歩行に特化した技術講習で西沢渓谷に行って来ました。前日の雨と、この時期にしては信じられないくらいの高温(都内は20℃越え)でちょっとコンディションが心配でしたが、バッチリ狙い通りのことが出来ました。
倒れてしまっていた冬期封鎖・通行止めの看板。沢の中の状態がわかっていない人たちのためには必要なアナウンスだと思います。僕らは雪山に登る装備で入渓するので最強ですが、まともな装備を持たない人が西沢渓谷に入ったら、即、遭難です。


二俣のつり橋。この下で、東沢と西沢が合流して笛吹川となります。


西沢渓谷の立派な看板。


西沢渓谷に入って割とすぐに登場する階段。登り切ると、石塔尾根の枝尾根の上に出ます。ちょうど対岸に大久保沢が見えます。そんなことでも現在地がわかる読図です。


その枝尾根から少し下ると、俄然氷った登山道になりました。アイゼン装着!


 登山道わきの斜面からのしみ出しが、冬の初めから溶けては凍りという事を繰り返して、だんだん発達する、というイメージ通りの景色になって来ました。夏にはたくさんのハイカーが訪れる山梨でも有名な西沢渓谷の渓谷道です。


 発達した遊歩道の氷。こんなところはアイゼンがないと手も足も出ません!足か?


この氷った斜面をアイゼンをつけて登っていきます。登山用アイゼン、4本歯、6本歯、10本歯、12本歯、と各種種類あります。どんな環境で使うかによって、その場所で必要なアイゼンの種類が変わります。歯の本数が多いほうがいろんなシュチュエーションで使えますが、確実な足の運びが出来ないと逆に危険だったりします。アイゼンの前に歩きが大事なんです。足の運びという事です。


アイゼンを購入するというのは頻繁なことではないです。何か明確な判断基準があれば、購入時に迷うことはありません。普通はショップの店員さんとのやり取りで、店員さんのアドバイスを信頼して購入。そのまま山で実践となります。購入したショップで冬靴と新しいアイゼンを合わせてもらって来ました、という方の写真です。小柄な女性の靴です。12本の爪。フロントを見てください。前爪がちょっとだけしか出ていません。前から二本目の爪の付け根に穴が見えます。前から2個目の穴に調整していれば一番前の出っ歯の爪はもっと前に出ます。このセッティングでは前爪使い切れません。フロントポインティングで前爪で立とうと思っても登山靴の先端が氷りにあたってしまってアイゼンの爪が氷に刺さりません。この12本歯のアイゼンの機能を生かしきれないという事です。道具のポテンシャルどうこうという前の話になってしまいます。


こちらはしっかり登山靴とアイゼンがフィットしていました。前爪がしっかり出ていてフロントポインティングで使える状態でした。つま先のアイゼンの爪の出具合が違うという事がわかるでしょうか?


氷った斜面ではごまかしが利きません。アイゼンの爪を斜面にしっかり効かせて、ピッケルとのコンビネーションで安全確保をしなくてはなりません。


七ツ釜五段の滝手前の橋。ここでお昼。


なめこと豆腐と絹さやと、最後は大根おろしをスリスリ。体の芯からあったまる味噌汁を作りました。


アイゼンワーク、突き詰めればフラットフッティングとフロントポイントというアイゼンの爪の使い方になります。なだらかなところだと練習にならないので、少し傾斜のあるところでの上り下り。氷の上で落ちると、そのまま滑り台のようになってしまうので、ロープで確保しながらの練習となりました。八ヶ岳などの高い山だと、低温、強風、なだれ、雪庇など本当の意味で危険です。そんなリスクがない所で、凍った斜面でアイゼンワーク、高い山以上にごまかしが利かない氷の上。ねらい通りでした。


フロントポインティングでシングルアックスで、確保された状態で集中してアイゼンワークのトレーニングでした。


せっかく氷の宮殿のようなところに来たので、知識、経験として体験していただいた、Vスレッド。アイススクリュ―という道具で2方向から氷に穴をあけて、その穴にスリングを通して支点を作る。こんなんで強度は大丈夫なんか?体重を掛けて頂き、どんどんピッケルで氷を削っていく・・・うぇー!強えー!Vスレッド!


夕方になって青空が顔を出してきました。


二俣まで戻ってきたら、鶏冠山が「待ってるぜ、今年は来いよ!」と言っているような気がしました。


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