2016年9月30日金曜日

西穂独標

穂高の稜線で絶景を見たいというリクエスト。夏前から何度かセッティングしたものの悪天候のため流れ続けて・・・絶景見るなら西穂山荘に泊まるしかないでしょ!翌日は雨予報でもとにかく行ってみようとなりました。新穂高ロープウェー山頂駅から西穂山荘までは1時間ちょっと、初日に早い時間のロープウェーに乗っても時間を持て余すので、乗鞍岳に寄って行こうとの当初の計画を急きょ変更してとにかく西穂山荘となったのでした。

土曜日なんかだと登山者向けに7:00発の便が第二ロープウェーから出ますが、ウィークデーだったので8:45発。穂高の稜線に一番簡単に上がれるのが新穂高ロープウェーです。


駐車場の車のナンバーは全国各地から。鍋平高原駐車場(登山者用)からちょっと歩いてしらかば平駅。10分くらい歩くでしょうか。


山頂までのチケットを買います。


やっと回ってきた順番。秤はザックの重さをはかるためです。6kg以上で別途200円かかります。第一ロープウェーから乗ると300円かな。ちなみに自分のザックの重さを測ってみたら18kgありました。


2段になった第二ロープウェー。定員は121名だそうです。標高1200mの鍋平高原から標高2150mの山頂駅まで約7分で到着です。


快晴の天気。乗客の皆さんワクワクです。写真は笠ヶ岳。


新穂高ロープウェー山頂駅の展望台。笠ヶ岳から双六岳の展望。


観光ではありません登山です。西穂高岳の稜線が登山道からばっちりでした。


登山道の様子。本当によく整備されています。こんなに大きな石どうやって動かしたんだろう?と思えるようなサイズの石も歩き易いように並べられていたりします。さすが北アルプス!


西穂山荘到着。通年営業の有り難い小屋です。


ロープウェー山頂駅から登りながら、一週間ぶりの晴天ということで、荷揚げのヘリコプターが盛んに飛んでいました。西穂山荘の荷揚げが終わっていればいいなぁと思っていましたが、最後の一便に引っかかってしまいました。上の写真の小屋前の広場がヘリポートなので、すべての登山者は小屋の中に退避させられます。あっという間に終わりますが。


必要のないものは小屋に置いて登り始めました。小屋からすぐ始まる大岩のセクション。


丸山手前はなだらかな登山道。前穂高岳と明神岳が顔を出します。


丸山山頂。


丸山を過ぎると本格的な登りです。独標とピラミッドピークが見えます。


上高地の大正池もばっちり見えました。


独標にはたくさんの登山者。


独標の付け根の慰霊碑。有名な松本深志高校の遭難です。
「北アルプス・西穂高岳独標付近(2701㍍)で1967(昭和42)年、集団登山中の松本深志高校(松本市)2年生が落雷に遭い、11人が死亡、13人が重軽傷を負った遭難事故」信濃毎日新聞


独標山頂。11峰と書かれています。西穂高岳が1峰、そこから数えて11番目のピークが独標だということです。


独標手前の小さなピークには12の文字。西穂高岳のギザギザの稜線も12峰でおしまいということ。


西穂山荘に戻りました。翌朝、朝焼けがみられるようならもう一度丸山まで登ろうと決めました。


残念ながら朝から雨。下山です。せっかく来たのだから頑張って登ろうというより、せっかくだから天気のいい時に登りたいという発想の皆さんでした。


ロープウェーも全く展望はありませんでした。


安房トンネルから松本に出てお昼。松本IC近くのお蕎麦屋さんへ。



6人前をどど~んといただきました。


2016年9月29日木曜日

上越国境稜線

茂倉岳の記事の続きです。
雨は夜半には上がり満天の星空になりました。見事に晴れ渡った朝となりました。左の山が万太郎山、右の山が仙ノ倉山、谷川岳トマの耳から西に延びる尾根の上にあるピークです。


オジカ沢の頭の右奥、よく見てください!なんと富士山まで見えました!


万太郎谷をはさんで、双耳峰の谷川岳のトマの耳からのびる、オジカ沢の頭のやさしい稜線。奥の山は高いほうが赤城山、右の低いほうが子持山。


手前は一ノ倉岳、奥はオキの耳、トマの耳の双耳峰の谷川岳。
谷川岳の左、東側は有名な一ノ倉沢です。東側と西側で全く表情が違う山です。
東側が太平洋側、西側が日本海側、東側が利根川水系、西側が信濃川水系。

流れ出す水が日本海と太平洋、全く違う方に流れる中央分水嶺の山です。標高が2000mくらいしかないのに、厳しい気象の地です。


一ノ倉岳から見た谷川岳。この山には、反対側の天神尾根から登る人が圧倒的に多いです。天神尾根や西黒尾根だけではない魅力が、一ノ倉岳以北や万太郎山以西には広がっています。長大な上越国境稜線の一部を歩いた今回でした。


一ノ倉岳から北を見ています。巻機山や越後駒ヶ岳がはるかに。


海のようなチシマザサの笹原の向こうに茂倉岳避難小屋。奥は万太郎山です。


茂倉岳の下り。


笹原の向こうに青空と、踊るような雲。


笹の平まで下って見上げる武能岳。標高差200mの登りが控えます。


南を振り返ると逆光に光る笹原。標高1500m~1900mの景色であるということが、山梨の山の景色に馴染んだ僕にはなかなか信じられません。それほど高い標高ではないのに樹木が成長できない環境。左が一ノ倉岳、右が茂倉岳。


武能岳山頂1759.6m。地元韮崎の茅が岳と変わらない標高。


また北の方角を見ます。尖った山が大源太山、その右の山頂がまあるいのが七ツ小屋山。奥は巻機山。


蓬峠と蓬ヒュッテ。なだらかな山稜を、慌てて歩いたらもったいないので、ゆっくりゆっくり歩いて来たのだけれど、あっという間に武能岳から蓬峠に着いてしまいました。


蓬峠の池塘と朝日岳方面。蓬峠のテント場はこの池塘の横です。蓬峠からは土合にも土樽にも行けます。とてもなだらかな稜線です。


笹原と武能岳。上越国境のほんの一部だけど、皆さんそれぞれのコースでこの稜線を楽しんでいる感じです。山梨からもう少し近ければ、ぜひもっといろんなパターンで楽しみたいと思いました。具体的に、土合から天神尾根経由で谷川岳、茂倉岳を通って土樽に下って本数の少ない電車で土合に戻る人が多かった。湯沢の方から大源太山、七ツ小屋山を回って下るという人も多かった。ピークは踏まないで土合から土樽に行くという人もいた。もちろん谷川岳馬蹄形狙いの人も。それぞれ逆パターンもありです。


上越国境のいい景色を堪能した後は土樽への下山。3~4時間はかかるので決して楽ではありません。峠からかなり下ったところの東俣沢出合の渡渉は、注意が必要と言われています。雨後の増水したときなどは難しい渡渉だろうなとは思いましたが、僕らは楽にこなせた水量でした。


林道に出るまでの道も、河原状で歩きにくい道でした。距離の割りに時間がかかります。


天神尾根のロープウェーを使って行くだけではない谷川連峰の魅力、上越国境というとらえ方でいろんなルートから登ると、とても有意義だと思います。

茂倉岳

関越道谷川PA下り。天気予報にまたも裏切られ、中央道-圏央道-関越道と走らせた車のワイパーは仕事しっぱなしでした。去年リニューアルしたばかりのきれいな谷川PA下りです。


関越トンネルを新潟方面へ。首都高速中央環状線山手トンネルが2015年に開通するまで、車が走るトンネルとして長い間日本一だった関越トンネル。長さ約11kmで約30年前に出来たトンネルです。さらっと書き流すには申し訳ないくらいの歴史があるのですが、実際走ってみて驚いたこと。とても走りやすいんです。そう思わせる理由は明るいということと、側面がタイル張りだということ。安全に配慮した様々な理由があるのでしょう、実感としてとても走りやすいトンネルです。


川端康成の小説「雪国」は「トンネルをぬけると雪国であった」で始まるわけですが、この日は「青空だった!」で、歓声があがった車内でした。久しぶりに見る青空!


上越国境の山、茂倉岳(しげくらだけ)を関越トンネルの新潟県側の土樽から目指しました。広々した茂倉新道の駐車場。


イラストマップではあてにならないので、尾根道とはいえ地形図を見ながらの登山。谷川連峰の真下には、上越線の清水トンネル、上越新幹線の大清水トンネル、関越道の関越トンネルが通っています。上野国(こうずけのくに)群馬県と越後国(えちごのくに)新潟県を結ぶ大動脈です。


やはり雪国の山、すごく湿っぽく、どことなく泥臭くという感じです。


途中の木の根は酷かった。とくに鼠子ネズコと呼ばれる黒檜クロベの大木の根っこは、ちょっとした岩場を乗り越える感じで厄介でした。


矢場の頭1490m。このピークの手前から木の根から解放されます。こんな標高でも環境が厳しく樹木が大きくなれないのです。


コナラの虫こぶ(植物の内部に昆虫が卵を産み付けることによって、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起)。ナラハヒラタマルタマバチという昆虫が卵を産んで、コナラの葉がこんなに真ん丸になるなんて・・・中には幼虫、やがて落ちて越冬して成虫になるようです。葉についている状態をナラハヒラタマルタマフシと呼ぶそうで、漢字を当てると ナラ(楢) ハ(葉) ヒラタ(平ら) マルタマ(丸玉) フシ(五倍子) 最後のフシは虫こぶのこと。


途中で降り出した雨にずぶ濡れになりながら茂倉避難小屋到着。



水場まで1分と書かれています。小屋の北側の斜面をしっかり下ります。帰りは3分って感じです。この日のように、雨が降っていたりするとサンダルでは行けません。しっかり雨具を着て、登山靴を履いてという感じです。水はしっかり出ています。


茂倉岳避難小屋、20人弱が泊まれるでしょうか。とてもきれいな小屋です。


夕食は山形の芋煮でした。


つづく