2016年10月11日火曜日

熊ノ平

黒檜山くろべいやまのピークに立つためにまずは熊ノ平に入りました。黒檜山の記事
熊ノ平は仙塩尾根(通称バカ尾根と呼ばれる、仙丈ヶ岳と塩見岳を結ぶ尾根)の真ん中の三峰岳みぶだけ南の井川越の横にあります。熊ノ平小屋は東海フォレストが夏の間営業していて、仙塩尾根を縦走する場合、前後に小屋がないのでとても重要な小屋です。
熊ノ平で感じたことを書きます。野呂川の両俣小屋をスタートして登りあげた野呂川乗越です。


馬鹿馬鹿しいほど長い尾根というのが由来のバカ尾根。樹林帯の上り下りが続いた後、標高2700mあたりから森林限界で三峰岳の急登となります。一か所こんな鎖場があったりしますが、そんなに問題はありません。この日は雨でレンズにも雨粒が付いてしまいました。


三峰川上流のダケカンバの色づき。


クロマメノキの紅葉。


登ってきたバカ尾根方面の雲が切れました。雲の中に仙丈ケ岳です。


三峰岳山頂から間ノ岳に続く稜線。


三峰岳から南の下りは岩場なので注意が必要です。三国平の手前から傾斜はなくなりますが、小石がゴロゴロしていて意外にいやらしいです。雲の切れ間から熊ノ平小屋が見えました。


三国平。農鳥小屋方面へトラバース気味の登山道が分かれます。井川越に向かって急な下りが始まるところでもあります。


いちばん低いところが井川越。


井川越。大井川の源流地帯です。


すぐに熊ノ平小屋ですが、手前はテントを張るスペースが点在しています。右の斜面から幾筋もの水の流れ。水場もテント脇にいくつもあって、かなり珍しいテント場だと思いました。


熊ノ平小屋。冬期開放は二階です。


小屋の西の2695mピークの途中から三峰岳方面を見ています。いちばん低いところが井川越。上の平らな山が三国平。


何気に熊ノ平周辺の写真をアップしていますが、熊ノ平で感じたことが下の写真に凝縮されています。茶色の枯れ草と草原のように見える斜面。どうやらシカの食害のようです。茶色の枯れ草はマルバタケブキです。9月の中旬くらいまでならたくさん咲いているでしょう。マルバタケブキを見てきれいなお花畑だと思わないほうが良いです。以前の姿とは違う今の様子なのです。


咲いている花は多少違っても、以前は立派なお花畑があったそうです。みんな食べられて、食草ではないマルバタケブキやバイケイソウが残ったということらしいです。

 荒川岳のお花畑

三国平から熊ノ平への急登を下っているときから、何となく不気味な景色に思えたダケカンバの森と、草原と化したお花畑。ハイマツ林や針葉樹の森はほかのエリアと一緒なんですが、熊ノ平周辺のダケカンバの森は何も生えていませんでした。殺伐とした感じにとても違和感がありました。下の写真の溝のようなのは水が流れた跡ですが、お花畑ではなくなった斜面の次の段階として崩れが始まってしまうようです。植生が変わったことによって保水力がなくなり、どんどん荒廃していく。夏の間はそれでも緑色で気が付かない感じなのでしょう。環境の厳しい高山帯です。一度失われたバランスは負の方向に向かうのでしょうか?
熊ノ平にいてとてもつらいものを見たという気持ちになりました。


黒檜山の山頂に立った翌日はだいたい晴れました。両俣小屋経由で下山しました。三峰岳を越えてです。三国平を過ぎて、塩見岳の向こうの山までよく見えました。四日目にして初めてでした。右下に小さくなった熊ノ平小屋が見えています。


西側から見た農鳥岳。いつもは東側の甲府盆地から見ている山です。なんかめずらしい形。


三峰岳からの大きな仙丈岳と甲斐駒、鋸岳。


無事に両俣小屋に着いてお昼。余った食材でラーメンでした。ワカンの箸置きとコンパクトになる箸をいただきました。


両俣小屋の前の赤く染まったナナカマドの実とドロノキ。


両俣小屋から約2時間の林道歩きをこなして、広河原行きのバスに乗って4日間の山行が無事終わりました。


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