2013年9月30日月曜日

日向八丁



日向八丁に行ってきました。
何年も前から整備中ということでしたが、今年完成したといろんなところで聞きます。

普通の登山道に数えられることはないでしょうが、藪尾根ではなくなりました、という結論。


    

どうせ行くのだったら、ちょっと変わったことをしようと思って変則的な周回コースにしました。

前から友人に勧められていた、鞍掛山に直接登る東の尾根から入って、大岩山、日向八丁、甲斐駒、黒戸尾根とまわり、最後は黄蓮谷から尾白川に下り、矢立石まで林道歩きというものです。
もし時間切れでどこかに泊ることになっても快適に眠れるように、ツエルトと寝袋(ペラペラ)、ロープなども持ったりしたので10kg以上のザックの重さになってしまいました。

‘千段刈り’と呼ばれる辺り

鞍掛山と尾白の沢下りは別な機会にします。整備された日向八丁の報告を中心にします。

人気のある山、日向山から入ります。矢立石から山頂経由でも錦の滝経由でもどちらでもいいので、雁ヶ原西のコルがスタートです。コルから駒岩を目指し、大岩山、日向八丁と続きます。


駒岩を過ぎてしばらくすると大岩山まではこんな感じです。ツガの森とコケがきれいななだらかな登りです。

駒薙の頭

駒薙の頭(2230m)からの大岩山。左奥は鋸岳の一部


大岩山(2319m)山頂

整備の始まり

大岩山から、甲斐駒から鋸岳の間にある三ッ頭までが日向八丁なのですが、その間、問題になるのが大岩山の下りです。今回の整備の最大のポイント。

ロープと鎖

ステップが切ってある

ワイヤー

緩めのワイヤー

立派な鉄の梯子が出てくるともうすぐ終わり
このセクションがあるから、整備前はロープを持って来なければなりませんでしたが、これでは必要ないでしょう。


カラビナが通る鎖

最後のロープ

ロープで最後で、日向八丁の最低鞍部となります。
右が釜無川の中ノ川の支流大岩沢で、左が尾白川ノ鞍掛沢の支流金山沢です。

切り株

切り株

切り株

切り株の写真が何枚もあるのは、これが目印だからです。
有名な藪尾根にありがちな赤布、テープの類がほとんどありません。たまにあるのは古いもの。
こういうのは整備した方の意図が感じられます。赤テープをたどれば誰でもトレース出来るというルート整備ではなく、判断は自分でしなさいということ。
今回の整備で、全く歩きやすくなった日向八丁ではありますが、地図が読めなくてはだめです。いざという時、どこでも泊れる技術と装備も必要です。
それでもどちらに進めばいいか迷った時は、大小さまざまな切り株やなためが目印になります。


這松の藪こぎもない

もう一つある鉄の梯子。向こうが尾白の鞍掛沢、反対が中ノ川の七ツ釜上部の支流になります。


もうすぐ烏帽子岳

烏帽子岳に到着です。双耳峰になっていてまずは東峰。
これらの石碑は甲斐駒講のものでしょう。明治時代のもののようです。
もっと以前は修験者が修行をしていたかもしれません。


日向八丁、大岩山、千段狩り方面を見降ろします。
天気が良かったので八ヶ岳もよく見えています。


烏帽子岳の西峰です。鋸もばっちりです!


甲斐駒です。


鋸岳と甲斐駒を結ぶ主稜線は三ツ頭の手前で、標識がにぎやかです。


甲斐駒北西尾根(鋸に通じる尾根をそう呼ぶ)の八合目あたりから尾白川に落ちる坊主中尾根
ここまで登って来て、なんとなくハイマツの色が変わってきたなと感じました。

夏の青々したハイマツと違って、青々に少しグレーを混ぜたような色に変化し始めました。

何かの本で読みましたが、厳しい環境である冬を乗り越えるため、水分を極力減らして凍っても大丈夫な体になって冬越しをするハイマツたちです。もちろんここでは普通に-20度になるわけだし、雪の中に埋まってしまうのですが、冬の準備をしっかりしているのだと思います。


大パノラマをもう一回! 日向八丁の手前は烏帽子中尾根です。


これは秋に真っ赤に鮮やかに映えるウラシマツツジなんですが・・・
まっかどころか、パリパリに乾燥していて、これでおしまいって感じです。
2,500~2,600mくらいより上の植物は概して、先日凍ったのか、葉っぱが落葉の準備をする前に寒さにやられてしまったようです。ミヤマハンノキの葉っぱもぱりぱりして、触ると粉々になってしまいました・・・今年の紅葉は駄目かもしれないです。


八合目の台地まで下ってきました。もう日が陰ってます。


七丈小屋、梯子も新しくなっているし、手すりとしてロープも張ってありました。


五合目に向かってます。これでも以前よりずっと安心な梯子なんです。


五合目の小屋の跡地です。


時間的にかなり無理があったのですが、古の道~尾白川渓谷道~を下る事に決めて突っ込みました。この判断は間違いだったかも?と思わせる、久しぶりにハードな内容になってしまうのです・・・










2013年9月24日火曜日

青笹尾根 ナメラ沢から

‘青笹’という山名が続いてしまいましたが、全くの偶然です。こちらは奥秩父

青笹尾根は、山梨百名山の破風山(西破風)から派生している尾根です。
こんなに素晴らしい尾根が近くにあったなんて、目から鱗です!
ただ、地図読みが出来ないとえらい事になるかも知れませんが・・・


ガイド協会の理事で静岡山岳自然ガイド協会代表上野真一郎さんの山行にお供させていただきました。

奥秩父 久渡沢のナメラ沢です。初心者、初級者の沢として有名な沢です。

わらじ!僕らは沢靴!

雁坂トンネル料金所わきの駐車場に車を停めてスタートです。調べてみたら雁坂トンネルが出来て15年たっていました。20年以上前にナメラ沢に入っているので、アプローチは全く違うものになっていました。いずれにしても雁坂峠への登山道の途中からの入渓です。

ナメ滝

一枚岩の上の流れ

最近はあまり沢に入ってませんが、どうもどこの沢も荒れてる感じです。倒木や土石がとても多いです。雨の降り方とか天候もさることながら、山と人のかかわりが変わったからでしょうか。

鉄砲堰跡

鉄砲堰とは昔の材木運搬方法の一つで、川をダムのようにせき止め、そこに浮かせた丸太を溜まった水の力で下流に運ぶ堰のこと。 
沢自体は、これを過ぎると傾斜が増して一気に稜線を目指します。


奥秩父主稜線に出て、しばらく談笑して、雁坂小屋に泊るという上野さんたちと別れ青笹尾根を目指します。

まずは西破風山の山頂へ。展望もない山頂で、誰もいないのですが、ずいぶんににぎやか・・・後で知ったのですが、青笹尾根に入るのは西破風の山頂の東からのようで、マーキングされているようです。僕は気付かず山頂からコメツガの密集に突っ込みました。

藪尾根を下る場合、下り始めはそれほど神経を使わなくてもいいです。(岩々していたり崩れがある場合は別)形状はいろいろですが、主稜線に吸収される枝尾根は最後(下る場合は最初)は漠然としています。ちょっと下ると尾根のところと沢のところがはっきりしてくるので、隣接している沢をイメージして軌道修正すればいいです。

この時は何も考えないで下り始め、沢が認識できる所で右の顕著な尾根がないので(左にはあった。)左にトラバースしたのでした。つまり、僕は初めヌク沢方面に下っていて、青笹尾根はヌク沢とナメラ沢の間なので左にトラバースしたのでした。尾根に出たら左右の沢の存在を意識します。

標高2,200mくらい


苔むしていますが石の杭です。恩賜林の林班境界の杭です。
山梨の森林の約半分近くを占める恩賜林、県有林です。

これが出てくるととても楽です。境界というのは山の中の入会地の境ということでだいたいいいと思いますが、定期的に見回りが行われるので人の手が入るということです。境界杭にはナンバーが入っています。杭を確認するためにマーキングもしっかりされています。


 ‘地籍図根三角点’と書いてあります。地図上の1855.6mの三角点です。
国土地理院の基準点閲覧サービスによると四等三角点で点名が‘ナメラ沢’

ちょっとだけ調べてみました。図根三角点というのは、地籍(どこを誰が所有しているか)を測量するために地元の自治体が設置するもののようで、国土地理院が設置する基準点としての三角点とは違うようです。でも地図には載っているんだよな~、よくわかりません。ここのは標石もありませんでした。


青笹尾根の由来はわかりませんが、写真はそのまんま青い笹がきれいです。ストレートに青笹が綺麗だからついた名前なのでしょうか?

2318mの西破風山の山頂から1850mくらいの標高まで下ると、なだらかな尾根に青笹が密生した緩やかな斜面がずっと続いてとても綺麗です。


これは恩賜林の境界線であるという意味の「境界見出標」です。近くに石の杭があります。
杭はナンバーが付いていて、30~50m間隔に打たれています。


1657.1mの三角点の手前にある水場、のように見えた場所。飛ばして歩いていたので確認はしていませんが、2~3か所こんな感じでした。ここでテントを張ったら気持ちいいだろうな!



こちらは1657.1mの三角点。点名は‘ナレイ沢’やはり標石はありませんでした。


地図上の1466m地点です。四等三角点と白い杭には書かれていて、やはり図根三角点なのでしょうか?ここは地図には三角点マークはありません。


防火帯が始まりました。結構急な始まり。
恩賜林の杭は左の林の際に打たれています。防火帯の真ん中はなんと・・・


ワラビの畑みたいになってました!まだ採れたから、なおさら驚きです!


№28の境界杭、これが目印で左の尾根にルートを取って、最後の下りです。暗くなりそうで焦ってます。

長かった青笹尾根もいよいよフィナーレです。

青笹尾根の最後は4本の尾根に別れて久渡沢に落ちています。いちばん西は林道が通っていて、西から2本目の尾根は防火帯の延長で、青笹尾根を登るのが目的ならこの2本目から入ります。国道の鶏冠山大橋の西詰めに階段があって、それが登山口。
今回は、雁坂トンネルの駐車場に車が止めてあるので一直線にそこを目指しました。いちばん東の尾根から下ります。急だったけど、藪もなくてガシガシ下れました。最後は久渡沢を渡渉して国道に這い上がりました。ドンピシャ!


藪もたいしたことはないので、この辺でダントツに楽しめる尾根です!