2013年8月29日木曜日

patagonian


何とも懐かしいものです。
これはハンドメイドの綴れ織りです。別な言葉で‘タペストリー’

今から27年前に、オーストラリアのメルボルンで僕が織ったものです。
サイズは40cm×90cmくらいです。一週間かかって織り上げたものです。

一年間日本を離れて岩登りに行ってました。そういうことになっています。
アラピリーズ、ブルーマウンテンズ、シドニーシ―クリフ、フロッグバットレス、ファンガヌイベイ・・・

なんだったのかは、ずいぶん昔の事なので忘れてしまいましたが、岩場横の牧場で一頭のヒツジと目が合ってしまったところからこのタペストリーにたどり着いたのだと思います。
生活困窮者!?は今もそんなに変わりませんが、当時は尚のことそうでした。
キャンプ生活だけでは食べていけなくて、街に出て働かなくてはなりませんでした。街の生活に慣れたころ、とあるイベントに遭遇しました。

‘農業まつり’でした。
そこでヒツジの事を思い出したのでした。トラクターや農業資材の横でクラフト展をやってました。
友人宅でスピニングホイール(刈り取ったヒツジの毛を毛糸にする糸紡ぎ)を回したりしていた僕はとても興味を持ちました。上手に毛糸を紡ぐことが出来るようになっていたからで、出来た毛糸の使い道をどうしようか?というのも少しあったような気がします。

街に住んでちょっと気になっていたことがありました。銀行や公共施設に行くとホールの壁によくテキスタイルが飾られていました。タペストリーです。タイトルと製作者が小さく書かれていて、その多くは、「Victorian Tapestry Workshop」とありました。日本だったら絵画や、場合によっては陶壁画なんかが無味乾燥な壁に飾られていたりしますが、メルボルンはタペストリーがとても多かったのです。
ビクトリアン タペストリー ワークショップ(V.T.W)

農業まつりのクラフト展から帰って、ヒツジの目と毛とクラフトとが一体となった場所だろうとV.T.Wに出かけてみました。
もはや古い話なので正確ではないかもしれませんが、ビクトリア州が運営しているタペストリーの工房がV.T.W!というのが当時の僕の認識でした。劇場の緞帳なんかも作っていて、全て手織りですので一年以上製作に時間がかかるものもあると言っていました。

まぁ細かいことは・・・ですが、
「ここは、クラフトとアートが結婚した場所なのよ。」というレセプションの女性の言葉が印象に残っています。その彼女が言うには、世界で綴れ織り(タペストリー)の生産地が4か所ある、一か所の名前は忘れましたが、フランスのゴブラン織り、日本の西陣織り、そしてV.T.W!

V.T.Wで働けるわけでもないので、2m×2mの経糸を張る枠を(スチール製)手に入れて、V.T.Wの主婦向けの‘タペストリーの織り方’みたいな講座を受けたりして、とにかく自分ではじめてみました。 

仕事をするか、タペストリーを織るか、の数カ月の日々でした。
ちなみに仕事は、職安で見つけた鋳物工場。イタリア人街にあって、環境としては劣悪でしたが、仕事はのんびりしていたので、熱いことを除けばそんなに苦労はしていません。確か給料もよかったので、貯金も出来ました。イタリア、ギリシャ、トルコ人が中心で、今はなきユーゴスラビアなんてのもいましたし、ベトナム人もいました。

羊毛の生産が盛んな土地で、マニュファクチュアから離れて、表現のツールとして羊毛を生かす!
なんだか地産地消の響きがあって、とても心魅かれたV.T.W。とにかくその時は、タペストリー!タペストリー!タペストリー!だったのでした。

ずっと一人で試作を重ねて、帰国が迫りつつある中で、何か卒業制作を!と思ったときに作ったのがPATAGONIANだったのです。

当時、クライマーに最も支持されていたアウトドアのブランド、‘パタゴニア’。
オーストラリアで最大の岩場アラピリーズは世界中からクライマーが集まっていました。そこにいた多くのクライマーの支持を集めていたブランド、パタゴニア。ヨセミテのクライマー、イボン.ショウィナードが作ったブランド、パタゴニア。今ではとてつもない大企業になってしまったけど、パタゴニアのロゴマークを卒業制作に選んだおいら・・・クレームがつかないように、パロディも含めてさいごに「N」をつけたのでした。

こんな思い出話も年を取った証拠ですね!


2013年8月27日火曜日

奥穂高岳 涸沢2泊に変更です。



9月28,29日(土,日)予定の穂高岳は26,27,28日(木,金,土)に変更!




 日時  :   2013年9月26日~28日(木、金、土)


▪ 参加費用:  ¥54,000 (ガイド料、その他)    最少催行4名から
      

▪ 難易度 :    体力レベル ★★ 技術レベル ★★
        

▪ 集合場所 : 韮崎市総合運動場 駐車場 (峡北合同庁舎が隣にあります)


▪ 集合時間 : 2013年9月26日(木) 午前430


▪ 日程 :9月26日(木) 朝4時30分―中央道松本IC沢渡(バス)―上高地一横尾―涸沢小屋()

          27日() 奥穂高岳ピストン―涸沢小屋()

28日(土) 涸沢小屋―横尾―上高地(バス)―沢渡―中央道松本IC―韮崎 解散

 
▪ ルート : 1日目 上高地バスターミナル―明神―横尾ー本谷橋―涸沢小屋(泊)
           標高差約850m 距離約14km 行動時間約8時間

        2日目 涸沢小屋―ザイテングラード―穂高岳山荘―奥穂高岳ピストン―涸沢小屋()
           標高差約850m  距離約6km 行動時間約6時間

        3日目 涸沢小屋―本谷橋―横尾―明神―上高地バスターミナル
           標高差約850mの下り 距離約14㎞ 行動時間約7時間


▪ 必要な装備 : 登山靴、ザック、登山用ウェアー、雨具、ストック、防寒着、帽子、手袋、水筒、
         行動食、非常食、ヘッドランプ、 その他必要なも
         *ヘルメット レンタルがあります。一回¥1,000(奥穂アタックの日に使います。)


*ガイドは登山口から下山口が任務となっておりますが、僕も登山口に行くので便宜上交通費は割り勘でということで車に乗っていただきます。移動中のアクシデントは自動車保険の補償内容の範囲ということをご了解ください。

*移動中は安全第一でドライブします。参加される方も、登山道具とは別なリラックスできる準備をしてください。

*些細なことでも、ご質問、ご提案がありましたら、三上まで連絡を下さい。よろしくお願いいたします。
   
              携帯
                  

鹿島槍ヶ岳 爺ヶ岳からピストン

剣岳 立山三山に映る影鹿島槍

天候が不安視された土日を避けて、急遽日月にずらして大正解だった鹿島槍ヶ岳の山行
天気が良いのは一番のぜいたく!を実感しました。


山梨から行くと、中央道―長野道―あずみのIC―大町―扇沢とドライブします。
扇沢は‘黒部立山アルペンルート’の長野県側の玄関口
爺ヶ岳の種池山荘への登山ルート‘柏原新道´の出発点は扇沢橋。扇沢駅手前(大町寄り)約800m


扇沢橋の前後に駐車スペースはありますが、あふれることもあるようで、この丁寧な看板がありました。メインは扇沢へ向かう車(バス、タクシーも多)なので、交通量も多いんです。


ケルンと言われるポイント

整備された登山道

柏原新道はよく整備された登山道です。でも距離があります。種池山荘までは5kmくらい

ツアー登山御一行

先日、蝶から常念に行ったツアー会社のツアーとすれ違いました。Vサインは杉井さん。
三日間入っていて、天候に左右されたようでした。


この時は融けていましたが雪渓のトラバースもあります。冷たくておいしい水がゲット出来ました。

しんどいところです。



やっと着いた種池山荘。見えるのは、爺ヶ岳南峰

名前の由来の種池

水は貴重です


とても気持ちのいい登山道。爺ヶ岳を目指します。


爺ヶ岳南峰から鹿島槍ヶ岳。ガスが沸き立って全容は見えません。真ん中に冷池小屋の赤い屋根


赤岩尾根ルートの分岐、あとちょっとで冷池小屋です。


日曜の宿泊でわりと空いていました。ここも水は有料。

時代です

鹿島槍ヶ岳を越えて、八峰キレット、五竜岳方面に行く場合はヘルメットが必要です。
翌朝は早いので夕食後はとっとと寝てしまいました。


布引山からの日の出


爺ヶ岳が朝日に染まります。鞍部に冷池山荘


剣岳と立山


鹿島槍ヶ岳南峰直下


ほとんどの山が見えました。真ん中奥は槍穂です。手前の稜線をたどっていくと布引山、爺ヶ岳、種池山荘が見えます。


布引山、鹿島槍ヶ岳南峰と北峰
朝4時に冷池小屋を出て鹿島槍ヶ岳をピストンして約4時間、やはり山は朝に限ります!

小屋脇の冷池

荷揚げに遭遇


爺ヶ岳の南峰まで来ました。


種池山荘と立山剣

お昼は種池ラーメン


よく晴れました。稜線ともお別れです。


地元の中学生

山梨あたりだとほとんど見かけなくなった学校登山。
地元の中学2年生の集団に遭遇、種池泊りで、明日爺ヶ岳に登るそうです。


柏原新道の途中から見える扇沢の駐車場
途中何度も登山道から見えます。

2日目は長距離です。14~15kmくらい歩きました。皆さんよく頑張りました!
この日の冷池小屋の最低気温は7℃、山の天気予報では富士山に雪のマークが使われていたりしました。幸い天候に恵まれ、風も弱かったので快適な登山になりましたが、これからは寒くなりますので防寒対策はしっかりなさってください。


2013年8月24日土曜日

常念小屋と横尾山荘

縁というものは不思議なものだとつくづく思います。

先日、諏訪の親戚で不幸がありました。都合のつかないカミさんに頼まれて僕が行くことになりました。亡くなられたのは99歳のおばあちゃん。喪主はお孫さん。
カミさんのおばあちゃんの弟さんの連れ合いのおばあちゃんの葬儀。
カミさんのおばあちゃんも弟さんももう亡くなっています。


葬儀会場で花輪を見て、どんな繋がりなんだろう?と思いました。

喪主のお孫さんのお母さんが常念小屋の山田恒夫さんの妹。


精進落としの席で  左から横尾山荘の山田さん お孫さんの関さん 山田恒夫さん おいら


8月の晴れた朝の常念乗越  赤い屋根はもちろん常念小屋


こちらは7月に常念から蝶に縦走した時の記念写真
雨の中の入山で、翌朝の出発の時も雨はまだ残っていました。記録はこちら
一番奥に立って記念写真にお付き合い頂いているのが、山田恒夫さんの息子さんのお嫁さん
息子さんは、松本で設計事務所を経営していて、山からは離れているようです。

先代山田利一が1919年(大正8年)に築いた常念小屋  北アルプスで3番目に古い小屋だそうです。今年で94年目。
山田利一は1947年(昭和22年)横尾山荘(前身は横尾小屋)も建設。
確認はとってないですが、山田恒夫さんの御兄弟が経営しているようです。


上高地から長い林道を歩いて横尾山荘についた時、誰もがどこかほっとするのではないでしょうか

今度通った時には是非寄るように言われました。僕も楽しみです。
ただ山梨だと、横尾山荘に泊る機会がないのが残念ではありますが・・・


おまけ
蝶ヶ岳から三股に下る登山道にいた恐竜!?



2013年8月21日水曜日

鋸岳 核心部

鋸岳の第一高点と第二高点の間がどうなっているか参考にしてください。
以前の写真で記事を書いてみます。


第一高点から15分くらい痩せた尾根を下ります。天気が良いとはるかかなたに甲斐駒が見えます。小ギャップの始まりです。

全体の問題となるところを箇条書きにしてみます。

・小ギャップの登りと下り
・鹿の窓手前の岩稜の通過
・鹿の窓ルンゼの通過
・大ギャップルンゼのルートファインディング
・中ノ川乗越への下り
となります。

第一高点からのヤセ尾根


小ギャプの第一高点側の壁。この壁の中央に鎖が付いていて、普通は懸垂下降です。


こんな感じです。


これは懸垂をしています。


小ギャップの反対側は基本草付き登りです。長い鎖が付けられていますが、多くの人は鎖には関係なく右か左の草付きを登ります。山梨寄りのほうが傾斜が緩めです。


少しわかりにくいですが、小ギャプの第一高点側が手前、向こう側(鹿の窓手前)はたいらに岩が並んでいます。太った岩峰の左に鹿の窓となります。


信州側から山梨側を見ている鹿の窓
信州側、つまり戸台川に落ちるのが鹿の窓ルンゼ。
山梨側は釜無川の支流、中ノ川に行く流れとなります。


鹿の窓の穴のすぐ下はこんな風になっていて、鹿の窓ルンゼと呼ばれています。
鹿の窓ルンゼを下りきると大ギャップルンゼに出ます。鹿の窓ルンゼは大ギャップルンゼの支流です。ひものようなのは鎖で、こいつを使う場合注意しなければならないのが、鎖自体が落石を起こすということ。鎖の下の狭まった所に落石が集中するので、1人ずつ慎重な行動が求められます。


鹿の窓ルンゼをある程度下ると比較的安全地帯。見上げるとやっぱり穴があいてます。


やっぱりこいつもわかりにくいですが、右の方はもう大ギャップルンゼです。鹿の窓ルンゼは最後涸れた滝となって大ギャップルンゼに落ち込むので、滝上のバンドを使って大ギャップルンゼに入ります。


第二高点の登りの途中から見た大ギャップ。
鹿の窓ルンゼから大ギャップルンゼに入って第二高点に行くルートは、いわばエスケープルートです。鹿の窓の穴の山梨側をそのまま行くと第三高点と呼ばれている平らなピークに出ます。
そのまま進むと大ギャップとなります。数十メートルの切れ込みで、底の部分は2mくらい。
底をトレースするのは完全にクライミングの世界です。


これは第三高点から見下ろした大ギャップ。
向こうの岩から大ギャップの底に下りるとしたら、40m懸垂下降ができる準備が必要です。 



右上している草付きを、第二高点から西に延びる尾根の樹林帯を登るのがエスケープルート
いっきに高度を稼ぎます。


第二高点の登りから見た鹿の窓ルンゼ方面
膨らんだ岩峰の右が鹿の窓ルンゼ


大高巻きしたっていう感じの登りのあとにたどり着く第二高点


第二高点の下りから見た中ノ川乗越


途中に咲いていたマツムシソウ。きれいですよ。


ここも岩の墓場です。


真ん中の台形の岩山と左のピークの間がルート。左上から右下に下ります。


鹿の窓   こんなのも面白い!向こうは仙丈ヶ岳です。


林道から見た第二高点、第一高点、中ノ川乗越。
鹿の窓がはっきり見えます。

中ノ川乗越から戸台側に下るのが熊穴沢。角兵衛沢からぐるっと周回するのも良いですね!