2013年4月12日金曜日

北岳 吊尾根から



冬に北岳に行くのはとても大変です。 普通は吊尾根という大樺沢の隣にある長大な尾根を登ります。
吊尾根ルートの始まりは南アルプススーパー林道の奈良田側の歩き沢橋のたもとです。
その登山口に行くには二つのルートがあります。どちらも一長一短なんです。林道を車で走れないというのが理由
夜叉神峠からというのが一つ、もう一つは奈良田から。今回は奈良田からです。

 ここがスタート地点
夏の北岳の登山口広河原まで17kmのサインが見えます。
左のガードレールを登っていくと大門沢に行きます。農鳥岳です。
暗いですが右のトンネルが 『開運トンネル』 スーパー林道の奈良田側の入り口。


農鳥岳に行く大門沢は広河内という沢の支流です。トンネルの前の橋の上から
稜線を見ると冬景色!ゆうべの積雪です。見えるのは大籠岳だと思います。

 血も涙もない感じでしょ!

南アルプススーパー林道は冬季閉鎖中。他にも冬季閉鎖中の林道はたくさんありますが、だいたい閉鎖が解けるのが4月25日。でもこの林道は特別です。夏でも一般車は入れないのはもちろん、自転車も人が歩くこともダメということになってます。なんか変です。
吊尾根登山口のあるき沢橋まで12kmの林道歩きの始まりです。
その前にこのゲートを乗り越えます。

 途中いくつも滝があります。

 木の芽を食べるサルたち

 はてしない感じの林道

遠くの山は早川尾根です。右上の林道は夜叉神からの林道
人が歩くことは黙認、というかたちのようです。だからなのか工事関係の車が通りますが、ほぼ間違いなく絶対に乗せてはくれません!

 こんなトンネルをいくつも通ります。

反対側が見えないトンネルもあるので、ヘッドランプを取り出したりします。
鮎差(あゆさし)というのは地名で、野呂川の左岸にあった杣小屋。夜叉神峠を越えて、西の尾根を下ったところにあったそうです。芦安から最短で野呂川に立てるルート。

 鷲住山(わしのすやま)

鷲住山は迫力があります。スカイラインの右に夜叉神からのスーパー林道が通っていて、バス停もあります。鷲住山を越えて写真の反対側に下ります。標高差は400mもあり、辛いところです。奈良田側のルートも12kmの林道歩きがあるわけですからどっちもどっち!

 あるき沢橋までもう少し

 やっと登山口に着きました!

荷物も背負ってますのでそんなに早くは歩けません。約12kmを3時間。
今年になって冬靴を新調しました。基本硬い靴なので、アスファルトの道はとても辛いです。靴ずれとまめで本当に登れるかな?状態でした。この段階で池山小屋まで行って早めに休み足の様子を見ようと決めました。

 池山御池に着きました。

この吊尾根ルートは普通の登山道とはちょっと違います。踏み跡が心細い感じ。しっかりマーキング(木にペンキ、赤布、テープ)はされているものの、やはり地図読みが出来て、現在位置が分かるようでないと入らないほうがいいです。

 池山小屋の中

3日間くらい寒気が降りてきていて、前日もこの日も翌日も風が強く、雪が降りました。足のほうは何とかなりそうなので、早めに寝て、暗いうちから歩くことにしました。だいたいやることがありません・・・最大の失敗はアルコールを忘れたこと・・・

 
寒気のおかげで雪が締まっていて、樹林帯の中でもそれほど潜らず楽に歩けました。3時出発、風はあるものの雲はない朝。ヘッドランプを外したら山々が染まってきました。


砂払いあたりまで来ると森林限界に近いので木が低くなりハイマツも出てきます。
農鳥岳と間の岳。農鳥からの尾根が大唐松尾根、間の岳からの尾根が弘法小屋尾根


冬毛のライチョウも強風に耐えてました。よく見るとオス一羽にメス三羽


ボーコン沢ノ頭まで来るとやっと北岳に会えます。北岳バットレスがすごい迫力です。
残念ながらシャッターを押すだけで精一杯。強風と寒さでじっくり写真が撮れません。


こちら側はなだらかな八本歯ノ頭。向こう側はとても急です。まるで天国と地獄


右側が大樺沢で左が荒川源流。両側から風が吹くので雪庇が発達しないようです。手前から奥まで一番尖った雪の上を行きます。手前はちょっとした岩登りとなります。


北岳に向けて最後の登り。岩のあるところはまだいいのですが、雪面はアイゼンをしっかりきめないと、滑ったら絶対止まりません。


北岳山頂。

 八本歯の登り返し


ボーコン沢ノ頭まで来ると北岳は雲に覆われました。実際はそんな呑気なものではなく、あの雲につかまっていたら状況はもっと厳しくなります。ブリザードが襲ってきたという感じ。雪も横殴りに吹き、視界はすこぶる悪い。実際下ってあの長い林道歩きをしている間中`風花´が凄かったんです。
やつに襲われる前に安全地帯に戻ってこれたのはラッキーでした。


3時間の林道歩きが終わってへとへとですがこれを乗り越えないと帰れません。
冬の北岳のハードルはアプローチでした・・・





 


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