2012年11月30日金曜日

県境の山 コシアブラの天ぷらで乾杯!


今回のお客様のリクエストは、山梨と静岡の県境の山々です。

■ 2年越しの県境の山への思い

間ノ岳から南下して続く`白根南嶺´山も大きく懐も深いのですが、林道が2年連続通行止めのため入りにくいのが布引山より南のエリアです。林道井川雨畑線は30Km近くある長い林道です。大笹峠から向こうが静岡、あちら側も林道が通行止めです。

通常は大笹峠(山伏峠)まで車で入って、小河内山、青笹山、イタドリ山、青薙山、稲又山、所ノ沢越、布引山と北上します。

2年間連続通行止めという林道も完全に崩落していはいないようなので、通れるよういろいろトライしましたが、許可は下りませんでした。

2年も待たされたので、林道を歩くか?さもなくば他に手段は?ということでじっくり地形図とにらめっこ。

林道井川雨畑線の中間地点に`長畑´という最終集落までは車で入れます。

そのすぐ南の尾根を使えば標高差1200mで主稜線に上がれるということで、じゃあやってみるか!となりました。

大笹峠から行った場合の初日の幕営地は青笹山周辺と決めていたので、藪漕ぎの程度がどの程度か分からない、という
不確定要素はあるものの、今回も青笹山ぐらいまでは行けるだろうとの計画でした。
 コースタイム
 2012年5月26日 長畑5:30‐15:00稜線‐15:30幕営地
         27日 幕営地7:30‐7:50青笹山‐11:30イタドリ山‐12:40小笹平‐16:50青薙山
         28日 青薙山5:30‐9:40池ノ平‐12:00東俣林道‐13:10沼平


長畑集落の先にあるゲート。遠沢の南です。実は手前のほうにもゲートはあるのですが鍵は締まっておりません。
地元の方の情報でした。


林道が尾根上で大きく膨らんでいる所から目星をつけて取りつきました。ほどなく山仕事の道が出てきたので楽に歩けました。


あたらしめの熊の糞


途中、標高1600m前後のところはコシアブラの畑!



               この辺りまで来ると仕事道もなくなり笹の藪漕ぎです。



主稜線に出て、青笹山の静岡側の崩れを確認し、ちょうどテント一張分のスペースがあったので今夜の寝床確保。

日陰に残雪がちらほら、テントを張った場所も一週間前は雪があったかもしれない。

当然晩飯はコシアブラの天ぷら!

今回のお客様お二人にとって、道のないところで藪漕ぎをしてという一日が相当こたえたようで、初日にして計画の修正となりました。三日目に所ノ沢越から布引山を越えて雨畑の老平に下るというものだったのを、青薙山から畑薙ダムの沼平を目指すことに。電波状態が悪い中、運転手の確保に電話しまくりです。 


二日目は青笹崩れのふちを通って、程なく青笹山に到着。


基本こんな感じの尾根の上、獣道であって、登山道ではありません。


遠くの山が青薙山


イタドリ山(板取山)。このピークの手前の鞍部の左側、東河内側に水を取りに行く。標高差で150m位下って8Lの水確保。往復で一時間かかりました。水の確保はこのエリアでの山行の肝です。


                  奥が青薙山、手前が2137mのピーク。


                    稲又谷を挟んで布引山が見えます。


            小笹平に到着。とても気持ちのいいところです!トレースのように見えるのは鹿の道


時間があれば昼寝でもしたくなります。



2137mのピーク手前は両側が崩れて非常に危険。おまけに風も強くなりロープを出しました。


            危険地帯が終わっても傾斜の強い笹薮。一番奥は八紘嶺の稜線。


青薙山の山頂は主稜線から外れていてちょっと南。

残雪もしっかりありました。雪の下ですが、舟窪地形で気持ちのいいところです。


ここでは焚火が出来ました。展望もなく、日が沈んでありがたい炎です。


三日目の朝は早出。風も強く寒かったのですが見晴しの良い所で赤石岳や聖岳を写真に収めました。
奥に三本の尾根が見えます。奥から、千枚、悪沢に行くもの、次が赤石岳の大倉尾根、一番手前が聖東尾根です。


赤崩です。下の川は大井川、畑薙ダムと椹島を結ぶ林道。赤い畑薙橋も見えます。

椹島行のバスに乗ると大きな崩れが二つあります、そのうちの一つ。


               湧き出る水場のある、池ノ平。とてもいいテントサイト。



一時間半の林道歩きが終わり、沼平到着。手配した車も待っていてくれました。

帰りのドライブもハードで、甲府まで4時間くらいかかります。

■ 県境の山について
 
県境の山の一番奥深いエリアは、登山道はありませんでした。しかし、藪も難儀するものではなく、比較的歩きやすいものでした。テープ等もありますが、あまり親切ではありません。つまりテープ、赤布をつないでいけば歩けるというありがちな藪山ではないのです。しかし、その分自分の地図読み能力で歩ける数少ないエリアだと思います。

この手の山行を僕はとても得意な分野にしています。 自然度の高いワイルドで深い山域を自分の力だけで歩いてみたいという本物志向な方の山行リクエストを待っています!!!


2012年11月29日木曜日

チェーンソー講習会


なんでこの集まりに参加することになったのか、きっかけは忘れてしまったのですが、素晴らしいひと時でした。今までチェーンソーは使ったことはあるんのですが、基本自己流でいまいち確信が持てなかった。それは刃を研ぐということにおいて…
北杜市にお住いの中島和也さんの講習会。実はお会いするのは初めてだったんですが、僕なんかと違って素晴らしいお人柄!経験値の違う6人の生徒にそれぞれ的確なアドバイスをピンポイントで伝えてくれる!僕なんか今までさんざん果樹農家のおじさんたちのアドバイスに???だったのに中島さんの言葉はとても分かりやすかった!    

6年間林業に携わったという実績に裏打ちされた実践的なアドバイス。

安全管理も含めてポイントを押さえているから臨機応変に対応できる。何よりわからないことを言葉に変えてくれるのでとても分かりやすい。 

中島さん、お世話になりました!

2012年11月26日月曜日

平賀文男展 講演会


韮崎駅前の市民交流センターニコリで開催中の平賀文男展、昨日は講演会がありました。


演題「平賀文男の生涯と父としての平賀文男」講師は、平賀文男の次男 平賀和夫さん。
生前の平賀文男を生き生きと語っていただきました。



講演すんで記念撮影。左から、山梨県立文学館館長 近藤信行さん、平賀和夫さん、山梨県山岳連盟会長 秋山泉さん、東京エレクトロン韮崎文化ホール理事長 林紘子さん


今回の講演会、会場いっぱいに人が入り大成功でした。次回は2月10日(日)、大正13年5月の赤石岳登山の映像、もちろん平賀文男御一行様。と最近の南アルプスの写真、解説はガイド三上!皆さん是非いらしてください!

2012年11月25日日曜日

丹沢ロープワーク講習会





静岡山岳自然ガイド協会のロープワーク講習会。丹沢の山岳スポーツセンター、公園になってる広大な敷地の一角で実施。最寄りの駅は小田急線の渋沢駅で大倉バス停が登山口。駐車場が朝から満車で、渋沢の駅近くに車を置いてバスに乗る。登山者でいっぱいのバス。あいにくの雨ながら、9名のガイドが集まった。



本日の講師は、西方太山岳ガイド。まずはいろいろな結び方のおさらい。これはラビットノット、スリングにカラビナ2枚でセルフビレーを取ります。



固定ロープでも、鎖場のクサリでも、セルフビレー用のカラビナは下から上の確認。上から下だとカラビナのゲートが岩にぶつかってしまう。こんな感じに細かいことの再確認。

お昼はバス停近くの蕎麦屋。巨大なかき揚げが名物で、暖かい蕎麦でいただきました。
この日は底冷えがしたので、おいしかったです。



いろいろな想定のもと、確認事項は続きます。これは、フィックスロープの張り方の確認。

フィックスロープ、ショートローピング、搬送、引き上げ、を中心にロープワーク技術の再確認の1日でした。

備えあれば憂いなし、何があってもおかしくない山の中で、最善を尽くすためのトレーニングでした。


これは、引上げ。こうしてガイド登山のいざという時のために日々研鑽しています。

2012年11月14日水曜日

白根南嶺の初冬

標高830mの奈良田周辺は紅葉まっさかり!




やっと着いた無人の大門沢小屋で食事を取っていると、みるみる雲が飛んでいって
現れた大唐松尾根に雪…その時はまだ稜線の雪の状態がわからなかった。



ここから大門沢コースの真骨頂、怒涛の登りが始まります。気を紛らわせるのに標高差100mをどのくらいでこなせるか?時計とにらめっこ。この日は大体、10分から15分の間でした。

集中して半袖で登っていたら知らぬ間に冬の世界!下山後風邪をひきました。




大門沢下降点にある鐘の向こうが農鳥岳。時間があったらピストンしようと考えていましたが、あまりの強風で、既に立っているのがやっとって感じ。いろいろ悩んで笹山に向けて南下することにしました。 



この写真は風も写ってます。大門沢は広河内の支流で、広河内のテッペンだから広河内岳。盆地から見て農鳥の左に小さく尖って見える山です。



広河内から南はこう見えます。

なんだかクジラの背中のようですが、3㎞くらい続きます。

この中に大籠岳(大古森沢のテッペン)、白河内岳(白河内のテッペン)があります。細かいアップダウンの連続です。

実はかなり焦っていて、暗くなってからではどうしようもないのでと思いつつ、風を少しでも避ける場を広河内岳の下の
二重山稜に決定!



遠くに見えるのは塩見岳です。青いのはツエルトです。ストックと這松で何とか空間を作りましたが、朝には半分雪で埋まってました。風は避けられたのですが、結局吹き溜まりなので雪はどんどんたまります。



結局、風がやむことなく吹き続く中、出発。まずは大古森岳(大籠岳)。遠くには農鳥、北岳、八ツが見えます。 



塩見岳側からずっと強風。石が飛んで来ないだけまだましか。



やっと、クジラの背中の端っこまで来ました。ここの下りのルートファインディングはとても難しかったです。

岩や這松の間をぬうジグザグルート。外すと大変で、吹きだまった這松に股までズボ!

ここ独特の目印にだいぶ慣れては来てました、小さなケルン、とても助かりました。こういうところは地図は通用しません。

地図は大まかな方向の確認のみで、基本、人の痕跡を見つける勘です。

思い出したのが、ホワイトアウトの黒百合平の天狗の庭。あそこも範囲は狭いけど大まかな方向性と後は勘です。



やっとここまで来ました。約二週間前にゲストとここに来たときはまだ冬は来ていませんでした。

あとは奈良田まで3時間くらいの下りだけです。


すぐ手前のなだらかなのが白河内岳です。

ガイド山行で笹山にテント泊の時はここまで足を延ばしてもいいかもしれないなぁ~。